時間が加速する感覚、その意外な理由

従来、この時間感覚の「加速」を説明する仮説として、主に次の2つが知られていました。
ルーティン仮説:日々が反復的で新しい出来事が少ないと、記憶に残る出来事の数が減ります。
その結果、後から振り返ると時間が空っぽに圧縮されたように感じられ、「あっという間だった」と認識されるという考えです。
成長欠如仮説:自己決定理論に基づく仮説で、自己成長を感じられない期間は「何も成長しなかった=無駄に過ごしてしまった」という思いから、その期間を短く(価値の乏しいものに)感じてしまうというものです。
(※一方で、辛さや苦しさを感じていた時期は「永遠のように感じられた地獄の日々」のように、期間が引き延ばされたような表現をされることがあります。特に抑うつ状態や無気力状態の時や孤立した状況、痛みが続く状況や疲れがある状況は、時間の進みが遅く感じたと報告されています。)
しかし、こうした説明だけでは「時間があっという間に感じる」現象を十分に説明できないのではないか――。
そう考えた米カンザス大学のMark J. Landau教授ら研究チームは、新たな実証研究に乗り出しました。
この研究では従来説の妥当性を検証するとともに、満足感やノスタルジー(郷愁)といった要因が時間知覚に影響している可能性を探っています。