温もりのある便利な木材を「もっと強く」する研究

木材は古来より人類の文明を支えてきた重要な材料です。
木材特有の美しさや温もり、加工のしやすさ、再生可能性など、木には重要なメリットが数多くあります。
それらを保ちつつ、構造材料としての実用性を大きく向上させられるなら、木材の幅は一層広がるに違いありません。
そんな新たな挑戦として、木材の強度を高める技術開発が始まりました。
そして2018年、メリーランド大学の研究者たちは、通常の木材を「変身」させるための手法を開発しました。

その手法の第1段階では、NaOH(水酸化ナトリウム)とNa2SO3(亜硫酸ナトリウム)を混ぜた水溶液で木材を煮沸します。
これによって、木材内部のリグニンとヘミセルロースが一部除去され、構造が柔らかくなります。
第2段階では、その木材を高温で加熱&加圧します。
この過程で、木材内部の細胞壁がならされてきっちりとつぶれ、内部の空洞が消えます。
微細なナノファイバーがしっかりと一方向に整列する構造になるのです。
この構造は、自然の木にはない細かいレベルでの整然とした構造を作り出し、強度、耐久性、耐弾性を飛躍的に向上させることに繋がりました。
では、こうして生まれたスーパーウッドはどれほどの性能をもつのでしょうか。