カブトムシも恐怖する「ヤツ」とは?
クヌギの樹液場には多種多様な昆虫たちが集まりますが、その顔ぶれは昼と夜とで大きく異なります。
昼間に姿を見せるのはチョウ類やカナブン、ハチの仲間です。
中でもオオスズメバチは、圧倒的な戦闘力でヒエラルキーの頂点に君臨し、他の昆虫を追い払って樹液場を独占します。
他方で夜間に集まるのはカブトムシやクワガタ、ガの仲間です。
この中では、最もサイズが大きく丈夫な体を持つカブトムシがやはり有利な地位を占めています。
それでは、昼の王であるオオスズメバチと夜の王であるカブトムシが遭遇したら、どうなるのでしょうか?
この疑問に答えるべく、研究チームは2022年に山口県内のクヌギ林にて、樹液場に集まるカブトムシを観察することに。
すると明け方の5時頃に、数匹のオオスズメバチが樹液場にやって来て、カブトムシの脚に噛みつき、次々とクヌギから剥ぎ落としていったのです。

カブトムシは硬い外骨格に守られていますが、ハチの強靭なアゴで脚に噛みつかれると、しがみつく力が奪われ、クヌギからポロリと落下していきました。
さらに凶暴なスズメバチはカブトムシを木から落とすだけでは飽き足らないようで、地上に落ちたカブトムシを執拗に追い回し、攻撃を続けていたのです。

当初10匹以上もいたカブトムシは、ハチの襲来からわずか数分で完全に排除され、樹液場を乗っ取られていました。
オオスズメバチによる排除行動は、観察を行った3日間の早朝すべてで確認されています。
では、もしオオスズメバチの襲来がないとすれば、カブトムシの活動時間帯に変化は出るのでしょうか?